平成11年5月に建築基準法の大改正があり、翌平成12年6月に建築物の構造や工事方法の内容を定めることを公布・施行されました。それに伴い私たち瓦業界では科学的データに基づいた屋根工事方法『瓦屋根標準設計・施行ガイドライン』を発表をしました。これにより平均風速30m~40m、震度7までの地震に耐えることができます。また現在の瓦はそれ自体が防災仕様になっているので、防災瓦とガイドライン工法でより強い施工をすることができます。
写真(下)はJ形(和瓦)の施工例となります。洋瓦にもガイドラインの基準があり、当社では基準に沿った施工をしております。
(一社)全日本瓦工事業連盟に加盟している事業所は、この工法を積極的に導入しています。また、
令和4年1月1日より、この工法は義務化されました。
尚、株式会社マルエイでは耐風圧性能試験(150サイクル法)を実施し、弊社で使用している瓦・瓦桟木・釘による引っ張り強度試験をクリアしております。


*『瓦屋根標準設計・施工ガイドライン』は一般社団法人全日本瓦工事業連盟HPをご参照ください。ここをクリック!

*株式会社マルエイはJ形(日本瓦)及びF形(平板瓦)の耐風圧性能試験を受けております。ここをクリック!










屋根を軽くすれば地震力や風圧力に対して安心というわけではありません。大切なのは耐力壁増やす、あるいは低い壁倍率や耐力壁になっていない壁を高い壁倍率に変えるなどして、水平力(地震力や風圧力)に対する耐震性をアップする抜本的な対策が必要になります。

屋根材は一番過酷な気象条件にさらされています。重量にとらわれず性能で選ぶことが大切です。高温多湿、寒暖差のある日本の屋根には、耐久性・遮音性・そしてメンテナンスをできるだけ必要としない優れた屋根材(粘土瓦)を選定することが、家づくり成功の秘訣を言えます。また古い建物の基礎や土台などの劣化も考えられるので、耐震診断・補強をすることが重要です。

1.建築基準法に応じて耐力壁が必要です。(建築基準法の壁量計算について)
横からかかる地震時に発生する水平力(地震力)及び台風時に発生する水平力(風圧力)に建物が耐えられるように、建物の床面積(地震力)及び外壁の
*見付面積(風圧力)の大きさに応じて耐力壁が必要になります。地震力と風圧力それぞれに必要な壁量の多い方(安全側)の壁量が必要です。

                

*見付面積とは、各階の床面から1.35m以下の部分を除いた面積になります。
昭和56年に建築基準法の大改正がされています。昭和56年以前なのか、それとも以降なのかでも耐震性に大きな違いが生じます。よって耐力がない古い建物では「重い屋根」を「軽い屋根」に葺き替えるだけでは現在の基準に満たない場合があり、屋根の軽量化だけでは安全とは言えません。リフォーム等で屋根材選びを行なう際には、耐震診断を受け、安全上必要な壁量を確保することが大切です。
ここでは『壁量の計算と壁量の違いによって何が違うのか?』について説明をします。


1981年(昭和56年)に建築基準法の耐震基準が変更 (必要耐力壁量が約1.4倍になり、地震に対する耐力が増強された)
以前の耐震基準の住宅は、粘土瓦やセメント屋根材が主流だった (屋根材としての歴史がある。当時、古い住宅には当然のように使われていた)
地震で倒壊した住宅は、耐震基準が変わる前の古い住宅が多い (国の機関や大学など、多くの建築系研究機関でも報告されています)
倒壊した住宅映像を粘土瓦やセメント屋根材が重いことが原因だったかのような報道が数多くなされた (被害の大きさを伝える手段として、瓦屋根が取り上げられた)



a)地震力に必要な壁量
地震力による壁係数(cm/㎡)は、建物の階数・建物の重さによって定められています。各階の床面積に壁係数を乗じて得た長さだけ、建物のX方向・Y方向のそれぞれの方向に壁が必要です。



重い屋根材
(陶器瓦・セメント屋根材・壁石張り) 



必要壁量の計算
床面積(㎡)×係数(cm/㎡)×0.01=必要壁量(m)


軽い屋根材
(化粧スレート・金属屋根材) 

地震時の係数(cm/㎡)  地震時の係数(cm/㎡) 
平 屋 2階建て 3階建て 平 屋 2階建て 3階建て































重い屋根材(X・Y軸とも) 

軽い屋根材(X・Y軸とも) 
1 階      ①41.41㎡(床面積)×33cm/㎡(係数)×0.01=13.67m      ①41.41㎡(床面積)×29cm/㎡(係数)×0.01=12.01m
2 階      ②28.99㎡(床面積)×21cm/㎡(係数)×0.01=6.09m      ②28.99㎡(床面積)×15cm/㎡(係数)×0.01=4.35m




b)風圧力に必要な壁量
*黄色部分が対象となる壁面積
※風圧力は方向によって必要壁量が異なります。




例:一般地域の場合(「重い屋根、軽い屋根」ともに同じ) *係数は地域により決められています。一般地域:50cm/㎡、強風地域:50~75cm/㎡
1 階   X軸方向 1階 東面・西面の見付面積
   ⑦25.16㎡(風圧力壁量)×50cm/㎡(係数)×0.01=12.58m
Y軸方向 1階 南面・北面の見付面積
   ⑧45.98㎡(風圧力壁量)×50cm/㎡(係数)×0.01=9.71m
2 階   X軸方向 2階 東面・西面の見付面積
   ⑨10.54㎡(風圧力壁量)×50cm/㎡(係数)×0.01=5.27m
Y軸方向 2階 南面・北面の見付面積
   19.41㎡(風圧力壁量)×50cm/㎡(係数)×0.01=9.71m





c)必要壁量の決定
階層、方向ごとで地震力と風圧力の必要壁量の値を比較し、
大きい方の値が必要壁量となります。
 

単位:m

対 地震力

対 風圧力


単位:m

対 地震力

対 風圧力
1 階  X軸方向 13.67 12.58 差 1.09m 1 階  X軸方向 12.01 12.58
Y軸方向 13.67 22.99 差は同じ Y軸方向 12.01 22.99
2 階  X軸方向 6.09 5..27 差 0.82m 2 階   X軸方向 4.35 5.27
Y軸方向 6.09 9.71   差は同じ Y軸方向 4.35 9.71
* 地震力と風圧力に耐えるために壁量を決めるため、Y軸のようにすべての部位で風圧力の壁量が上回ると、屋根材に関係なく壁量は同じになります。
* 軽い屋根材のように風圧力の壁量がすべて上回ることもあります。


壁量の種類による壁倍率(強度)の違い
仕  様 筋交い耐力壁 面材耐力壁
30×90 45×90 構造用合板
片筋交い たすき筋交い 片筋交い たすき筋交い  片 面 両 面
倍  率 1.5 3.0 2.0 4.0 2.5 5.0
形  状

















単位:m 3.0 重い屋根材 軽い屋根材 差はわずか壁倍1.5の耐力壁1枚分
間仕切りを耐力壁にするだけです
1階 X軸方向 必要耐力壁の長さ 13.67m 12.58m
1.5(30×90筋交い)の壁枚数 13.67m÷1.5倍÷0.91=10.01枚 12.58m÷1.5倍÷0.91=9.216枚
必要な壁枚数





 
Y軸方向 必要耐力壁の長さ 22.99m 22.99m
1.5(30×90筋交い)の壁枚数 22.99m÷1.5倍÷0.91=16.84枚 22.99m÷1.5倍÷0.91=16.84枚
必要な壁枚数





👈 差は同じ





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